コラム一覧

「奥歯が抜けたのですが、抜けたままでも大丈夫なのでしょうか」
「しばらく放置してしまっていて、今さら歯科に行っても間に合うのか不安です」

奥歯が自然に抜けてしまう場合、歯周病の進行や歯の破折など、すでにお口の中の状態がかなり悪化しているケースも少なくありません。痛みが落ち着いていると「このまま様子を見よう」と思ってしまいがちですが、奥歯の欠損を放置すると、噛み合わせの崩れや周囲の歯への負担など、気づかないうちに影響が広がっていくことがあります。

このページでは、奥歯が抜けたときにまず行うべきこと、放置で起こりやすい変化、そして治療法(インプラント/部分入れ歯/ブリッジ)の考え方について、長崎県長与町の渡辺歯科医院・院長の渡邉が分かりやすく解説します。「奥歯が抜けたまま大丈夫?」と不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。状況に応じた治療の方向性は、無料カウンセリングでも個別にご相談いただけます。

目次

奥歯が抜けたのは「かなり進行している」サイン

「奥歯が自然に抜けてしまった」というご相談は、当院でも少なくありません。実際に、長崎県長与町の当院には、奥歯が抜けたあとに不安を感じて来院される方が大勢いらっしゃいます。

奥歯が自然に抜けるというのは、多くの場合、歯周病がかなり進行している、あるいは歯が割れて支えきれなくなっているなど、お口の中で何らかの問題が進んでいたサインです。「痛みが落ち着いたから大丈夫」「とりあえず様子を見よう」と思ってしまう気持ちもよく分かりますが、実は体からの重要なサインであることが少なくありません。

本来であれば、奥歯が抜けた直後、できるだけ早い段階で受診していただくのが理想です。抜けたばかりの状態であれば、骨や歯ぐきの条件が比較的保たれていることが多く、治療の選択肢も広がります。

ただし、「しばらく放置してしまった」「数か月、あるいはそれ以上経っている」という方でも、決して遅すぎるということはありません。現在の骨や歯ぐき、噛み合わせの状態を丁寧に確認し、その方に合った治療方法をご提案することは十分に可能です。

奥歯が抜けたことをきっかけに、「今の状態をきちんと見直すタイミング」と捉えていただければと思います。次に、そもそもなぜ奥歯が抜けてしまうのか、その原因について解説します。

奥歯が抜けるのはなぜ?

奥歯が自然に抜けてしまうことは、決して「突然起きた偶然の出来事」ではありません。多くの場合、その背景には長い時間をかけて進行してきたトラブルがあります。

特に奥歯は、噛む力を強く受け止める大切な歯です。そのため、歯周病やむし歯、歯のヒビ・破折などの問題があると、前歯よりもダメージを受けやすい傾向があります。

しかも奥歯は見えにくく、磨き残しが起きやすいため、知らないうちに状態が悪化していることも少なくありません。「痛みはなかったのに抜けた」という場合でも、歯を支える骨が弱っていたり、歯の根が割れていたりすることがあります。痛みがないからといって、健康だったとは限らないのです。

歯周病(歯の支えが弱って抜ける)

奥歯が自然に抜けてしまう原因として、最も多いのが歯周病です。歯周病は、歯ぐきや歯を支えている骨に炎症が起こり、少しずつ支えを失っていく病気です。進行すると、歯ぐきが下がり、歯がぐらぐらと動くようになり、最終的には抜けてしまうこともあります。

歯周病の怖いところは、初期の段階では自覚症状が少ないことです。多少の出血や口臭があっても、「大したことはない」と見過ごされることが多く、気づいたときにはかなり進行しているケースも少なくありません。特に奥歯は清掃が難しく、歯周病が進みやすい部位でもあります。

「痛みはなかったのに、ある日ポロッと抜けた」という場合でも、実際には歯を支える骨が大きく失われていた可能性があります。奥歯が抜けたという事実は、歯周病がかなり進行していたサインであることが多いのです。

歯の破折(歯が割れて奥歯を残せない)

もう一つ多い原因が、歯の破折(はせつ)、つまり歯が割れてしまうことです。奥歯は強い噛む力を受け止める役割があるため、長年の負担が蓄積すると、歯にヒビが入ったり、根の部分まで割れてしまったりすることがあります。

歯が大きく割れてしまうと、見た目には歯が残っているように見えても、実際には保存が難しい状態になっていることがあります。特に、歯の根まで亀裂が入っている場合は、細菌感染を起こしやすく、結果として抜歯せざるを得ないケースも少なくありません。

「急に強い痛みが出たあとに抜けた」「噛んだ瞬間に違和感があり、その後ぐらついてきた」という経過をたどることもありますが、破折は外から見ただけでは分かりにくいこともあります。

虫歯で歯が脆くなって破折するケース

奥歯が割れてしまう背景には、重度のむし歯が関係していることがあります。むし歯が進行すると、歯の内部まで細菌に侵され、健康な歯質が大きく失われます。その状態で強い力がかかると、歯が耐えきれずに割れてしまうことがあります。

また、神経を取る「根管治療」を行った歯にも注意が必要です。根管治療そのものが悪いわけではありませんが、神経を取った歯はどうしても脆くなりやすい傾向があります。さらに、根管治療を何度も繰り返している歯では、削る量が増え、歯の厚みが薄くなっていることも少なくありません。

その結果、見た目には被せ物が入っていて問題なさそうに見えても、内部でヒビが進行し、ある日突然割れてしまうということが起こります。奥歯は特に噛む力が強くかかるため、こうした破折のリスクが高い部位でもあります。

強い歯ぎしりや食いしばりによって破折するケース

奥歯が割れてしまう原因として、歯ぎしりや食いしばりの影響も見逃せません。無意識のうちに強い力が加わることで、歯に大きな負担がかかり続け、ヒビが入ったり、根の部分まで割れてしまったりすることがあります。

特に就寝中の歯ぎしりは、自分では気づきにくいものです。日中の噛む力よりもはるかに強い力がかかることもあり、長年続くことで歯に疲労が蓄積していきます。すでにむし歯治療で削られている歯や、神経を取った歯は、さらに破折のリスクが高まります。

また、強い食いしばりは、歯だけでなく顎の筋肉や関節にも負担をかけます。奥歯は噛み合わせの中心となる部分であるため、過剰な力を受けやすく、結果として抜歯に至るケースもあります。

歯ぎしりや食いしばりは「クセ」だから仕方がないと考えられがちですが、適切な対策を取ることでリスクを減らすことが可能です。

次の章では、奥歯が抜けたまま放置すると、どのような変化が起こるのかについて解説します。

奥歯が抜けたまま放置すると起こること

奥歯が1本抜けただけであれば、「今のところ困っていないから大丈夫」と感じる方も多いかもしれません。特に痛みがない場合は、そのまま様子を見てしまうこともあるでしょう。

しかし、奥歯は噛み合わせの中でも特に重要な役割を担っています。強い力を受け止め、上下の歯の高さやバランスを保つ“土台”のような存在です。その奥歯がなくなると、周囲の歯や噛み合わせ全体に少しずつ影響が広がっていきます。

問題は、こうした変化がゆっくり進むため、自分では気づきにくいことです。「何となく噛みにくい」「前より食べづらい気がする」といった小さな違和感から始まり、気づいたときには歯並びや噛み合わせが大きく崩れているケースもあります。

次からは、奥歯を放置することで起こりやすい具体的な変化について、順に解説していきます。

隣の歯が倒れる/歯並びが崩れる

奥歯が抜けたままの状態が続くと、欠損した部分に向かって、隣の歯が少しずつ倒れていきます。歯は本来、隣同士が支え合うことで安定していますが、1本なくなるだけでそのバランスが崩れてしまいます。

歯が傾くと、噛む力のかかり方が不均等になり、一部の歯や歯ぐきに負担が集中します。また、歯と歯の間にすき間や段差が生じることで、汚れがたまりやすくなり、清掃が難しくなります。その結果、むし歯や歯周病が進行しやすくなり、さらに別の歯を失うきっかけになることもあります。

最初はわずかな傾きでも、時間が経つにつれて歯並び全体が乱れ、治療の難易度が上がることもあります。奥歯1本の欠損が、将来的に大きなトラブルへとつながる可能性があるのです。

噛み合う相手の歯が伸びてくる(挺出)

奥歯が抜けたままになると、もう一つ起こりやすい変化が「挺出(ていしゅつ)」です。これは、抜けた奥歯と噛み合っていた反対側の歯が、支えを失ったことで徐々に伸びてくる現象を指します。

本来、上下の歯は噛み合うことで位置が安定しています。しかし、片方がなくなると、その歯は少しずつ空いたスペースに向かって動き出します。最初はわずかな変化でも、時間が経つにつれて歯の高さが変わり、噛み合わせ全体のバランスが崩れていきます。

挺出が進むと、将来インプラントやブリッジで治療しようとした際に、十分なスペースが確保できず、追加の処置が必要になることもあります。また、伸びてきた歯自体が清掃しにくくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まることもあります。

このように、奥歯1本の欠損でも、上下の歯に影響が及び、治療をより複雑にしてしまう可能性があります。

他の歯に負担が集中する

奥歯は、噛む力をしっかり受け止める“柱”のような役割を担っています。その柱が1本なくなるだけで、残っている歯にかかる力のバランスが大きく変わります。

本来であれば複数の奥歯で分散して受け止めていた噛む力が、他の奥歯や前歯に集中するようになります。その結果、歯がすり減ったり、ヒビが入ったり、神経を取った歯が割れてしまうといったトラブルが起こりやすくなります。特に、すでに治療歴のある歯は強度が落ちていることが多く、負担に耐えきれずに抜歯に至るケースもあります。

また、「片側だけで噛む」クセがつきやすくなり、左右の噛み合わせのバランスが崩れることもあります。こうした状態が続くと、さらに別の歯を失うきっかけになり、欠損が連鎖的に広がっていく可能性もあります。

顎・筋肉の負担が増えることもある

奥歯が抜けたままになると、歯だけでなく、顎やその周囲の筋肉にも負担がかかるようになります。噛み合わせが乱れることで、左右どちらかに偏って噛むクセがついたり、無意識に食いしばりが強くなったりすることがあります。

その結果、顎の関節に違和感が出たり、口を開けにくくなったり、顎の周囲の筋肉が常に緊張した状態になることがあります。また、肩こりや頭の重さなど、はっきりと原因が分からない不調として感じられることもあります。

もちろん、すべての不調が噛み合わせだけで説明できるわけではありません。しかし、奥歯は噛み合わせの安定に大きく関わる重要な歯です。その奥歯を失ったままにしておくことで、少しずつ体に負担が積み重なっていく可能性は否定できません。

奥歯が抜けてから放置すると治療できない?

「しばらく放置してしまったけれど、もう治療はできないのでしょうか」
 このご質問は、とても多くいただきます。

結論からお伝えすると、多くの場合、治療は可能です。
ただし、放置していた期間や現在の状態によって、選択できる治療法や難易度は変わってきます。

奥歯が抜けた直後であれば、骨や歯ぐきの状態が比較的保たれているため、インプラントやブリッジなどの治療もスムーズに進めやすい傾向があります。一方で、長期間放置していると、骨が痩せたり、周囲の歯が傾いたりして、追加の処置が必要になることもあります。

しかし、「放置してしまった=もう手遅れ」ということではありません。大切なのは、今の状態を正確に把握することです。そのうえで、現実的にどの治療法が適しているのかを判断していきます。

「本当に理想的なのはいつ受診することなのか」、そして「今からでも間に合うのか」について、もう少し具体的にお話しします。

本当に理想的なのは奥歯が抜ける前の受診

本当に理想的なのは、奥歯が抜けてしまう前に受診していただくことです。

歯周病や破折の兆候がある段階で対応できれば、歯を残せる可能性が高まり、治療の負担も抑えやすくなります。

しかし、すでに奥歯が抜けてしまった場合、「もっと早く来ればよかった」と後悔される方も少なくありません。ですが、抜けてしまったことを悔やみ続けても、状況は変わりません。大切なのは、これ以上悪化させないことです。

奥歯は失ってしまったかもしれませんが、「他の歯が抜ける前の受診」と考えれば、今はまだ間に合うタイミングです。実際に当院でも、奥歯が1本抜けたことをきっかけに来院され、その後の歯を守るための治療計画を立てている方が多くいらっしゃいます。今回の出来事を「最後のサイン」ではなく、「これから守るためのきっかけ」と捉えていただければと思います。

放置した期間が長いと骨や歯茎が痩せてしまう

奥歯が抜けたままの状態が長く続くと、顎の骨や歯ぐきは少しずつ痩せていきます。歯があった部分は、本来、噛む力が加わることで骨の高さや幅が保たれています。しかし、その刺激がなくなると、骨は徐々に吸収されてしまいます。

さらに、隣の歯が傾いたり、噛み合う歯が伸びてきたりすることで、歯並びや噛み合わせも変化します。こうした状態になると、インプラントを検討する際に骨の量が不足していたり、ブリッジを入れるスペースが十分に確保できなかったりと、治療計画に影響が出ることがあります。その結果、追加の処置が必要になるなど、治療の難易度が上がる場合もあります。

ただし、「難しくなる=治療できない」ということではありません。骨造成などの方法を含め、現在の状態に合わせた選択肢を検討することは可能です。当院では、CTなどを用いて骨の状態を詳しく確認し、その方にとって無理のない、現実的な治療計画をご提案しています。

放置してしまった期間があっても、今の状態からできることを一緒に整理していくことが大切です。

奥歯を補う主な3つの治療法

奥歯が抜けたままの状態を改善するためには、失った歯をどのように補うかを考える必要があります。主な治療法は、大きく分けて「ブリッジ」「部分入れ歯」「インプラント」の3つです。

それぞれに特徴があり、向いているケースや注意点も異なります。たとえば、周囲の歯の状態が良いのか、すでに治療歴が多いのか、骨の量は十分か、そして患者さまがどの程度の噛み心地や見た目を求めているのかによって、選択肢は変わってきます。

「どれが一番いい治療か」というよりも、今のお口の状態に合っているかどうかが重要です。次から、それぞれの治療法について分かりやすく解説していきます。

ブリッジ

ブリッジは、抜けた歯の両隣の歯を削って土台にし、その間に人工の歯を橋のようにかける治療法です。

固定式のため、取り外しの必要がなく、違和感が少ないというメリットがあります。比較的短期間で治療が完了する点も特徴です。

ただし、ブリッジは欠損している歯の両隣にしっかりとした歯が残っていることが前提になります。もし隣の歯がすでに弱っていたり、大きな治療が施されていたりする場合には、土台として使うことでさらに負担がかかる可能性があります。

また、奥歯の欠損が大きい場合や、複数本にわたる欠損では、ブリッジでの対応が難しいこともあります。無理にブリッジを選択すると、将来的に支えの歯まで失うリスクが高まることもあるため、慎重な判断が必要です。

部分入れ歯

部分入れ歯は、抜けた部分を人工の歯と歯ぐきで補い、周囲の歯にバネをかけて固定する治療法です。

ブリッジのように両隣の歯を大きく削る必要がなく、適応範囲が広いことが大きな特徴です。

特に、奥歯を放置して骨や歯ぐきが痩せてしまっているケースでも、比較的対応しやすい治療法といえます。外科的な処置が不要なため、「まずは負担の少ない方法で治したい」という方にとっては選択肢のひとつになります。

一方で、取り外し式であるため違和感が出やすかったり、バネをかける歯に負担がかかったりすることもあります。また、噛む力の回復という点では、天然歯やインプラントに比べると限界があるのも事実です。

それでも、現在の状態やご希望によっては、現実的で有効な治療法になります。

インプラント

インプラントは、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法です。

周囲の歯を削る必要がなく、単独でしっかりと噛む力を支えられるため、自分の歯に近い噛み心地を目指せる方法といえます。特に、強い力がかかる奥歯の欠損には適した治療法です。

一方で、奥歯を長期間放置していると、顎の骨が痩せてしまい、そのままではインプラントを埋入できない場合もあります。そのようなケースでは、骨造成などの追加処置が必要になることがあります。治療期間や費用が増える可能性があるため、事前の診査・診断が重要です。

「奥歯は骨が足りないからインプラントはできない」と他院で言われることもありますが、実際には状態を詳しく調べることで対応できる場合も少なくありません。奥歯のインプラントについて詳しく知りたい方は、こちらのページもご覧ください。
>>奥歯のインプラントについて

奥歯が抜けてしまった患者様への当院の基本方針

奥歯が抜けてしまった場合、私たちがまず大切にしているのは、「なぜ抜けたのか」「これ以上、他の歯を失わないためにはどうするか」を明確にすることです。単に抜けた部分を埋めるだけでなく、お口全体の状態を見直すことが重要だと考えています。

奥歯は噛み合わせの土台となる歯です。そのため、治療法の選択によっては、今後の歯の寿命に大きな差が出ることもあります。当院では、周囲の歯の状態、骨の量、噛み合わせのバランス、これまでの治療歴などを総合的に評価し、その方にとって無理のない、かつ長期的に安定を目指せる方法をご提案しています。

「できるだけ削らずに治したい」「将来的なリスクを減らしたい」「費用や期間も含めて現実的に考えたい」など、ご希望は人それぞれです。私たちは一方的に治療を決めるのではなく、選択肢を丁寧に説明したうえで、一緒に方向性を考えていくことを基本方針としています。

まずはインプラント、難しければ自費の部分入れ歯も含めてご提案

奥歯が1本抜けた場合、当院ではまずインプラントでの治療が可能かどうかを検討します。奥歯は噛む力を強く受け止める重要な歯であり、周囲の歯を削らずに単独で補えるインプラントは、機能面・長期安定の面で大きなメリットがあるからです。

特に、欠損の両隣の歯が健康である場合、それらを削ってブリッジにするのは将来的にもったいないケースがあります。インプラントであれば、他の歯に負担をかけずに噛み合わせの土台を回復できます。

ただし、骨の量が不足している場合や、全身状態・ご希望・費用面などを総合的に判断して、インプラントが最適でないこともあります。そのような場合には、自費の部分入れ歯も含めてご提案しています。自費の部分入れ歯であれば、保険の入れ歯よりも適合性や機能性を高めることが可能です。

当院では、「必ずインプラント」という考えではなく、まずは最も長期的なメリットが見込める方法を軸に考え、そのうえで現実的な選択肢を丁寧に整理していきます。

部分入れ歯で治療予定の6番欠損をインプラントで治療した症例

下の奥歯(6番)が抜けた状態で来院された患者さまの症例です。他院では部分入れ歯での治療を提案されていましたが、当院で詳しく診査したところ、欠損の両隣の歯はほとんど削られておらず、歯周組織の状態も良好でした。

このようなケースで部分入れ歯を選択すると、バネをかける歯に負担が集中します。健康な歯を支えにすることで、将来的にその歯の動揺や破折、さらなる欠損につながる可能性があります。特に6番は噛み合わせの中心となる重要な歯であり、その部分をどの方法で補うかは、お口全体の将来に大きく影響します。

そこで当院では、周囲の歯を削らずに単独で機能を回復できるインプラント治療をご提案しました。インプラントによって奥歯の支持を取り戻すことで、隣の歯に余計な負担をかけず、長期的な安定を目指す方針としました。

>>症例の詳しい経過や治療内容についてこちら

このように、同じ「奥歯1本の欠損」でも、周囲の歯の状態によって最適な治療法は変わります。

部分入れ歯で治療した症例

一方で、奥歯の欠損が3本以上に広がっているケースでは、治療の考え方が変わることもあります。ある患者さまは、奥歯を複数本失っており、すでに欠損が進行している状態で来院されました。隣接する歯にも治療歴があり、骨の状態や噛み合わせを総合的に評価すると、複数本をインプラントで補う場合には費用や外科的負担が大きくなることが予想されました。

このようなケースでは、無理にすべてをインプラントで補うのではなく、自費の部分入れ歯によって機能を回復する選択も現実的です。設計を工夫することで、噛み合わせの安定を図りながら、残っている歯への負担をできるだけ分散させることが可能です。

欠損が進行している場合は、「何本失ったか」だけでなく、「残っている歯をどう守るか」という視点が重要になります。部分入れ歯は取り外し式ではありますが、適切に設計し、定期的に調整を行うことで、現在の状態に合わせた安定した治療につなげることができます。

このように、同じ奥歯の欠損でも、状態やご希望によって選択肢は変わります。当院では、欠損の広がりや将来的なリスクを踏まえたうえで、最もバランスの取れた方法をご提案しています。

>>詳しい症例についてはこちら

他院でインプラント治療が難しいと言われた患者様へ

「骨が足りないのでインプラントは難しいと言われました」
 「奥歯は条件が悪いのでできないと説明されました」

このようなご相談で来院される方は、決して少なくありません。まずお伝えしたいのは、「難しい」と言われたことが、必ずしも「不可能」という意味ではないということです。

インプラント治療は、骨の量や質、歯ぐきの状態、噛み合わせなど、さまざまな条件を総合的に判断して可否を決めます。確かに、条件が整っていない場合はそのままでは難しいこともあります。しかし、骨造成や歯肉の処置などを組み合わせることで、治療が可能になるケースもあります。

すべての症例でインプラントが適応になるわけではありませんが、「他院で難しいと言われた=もう方法がない」と思い込んでしまうのは早い場合もあります。当院では、CTによる精密な診査を行い、現在の状態でどのような選択肢が考えられるのかを丁寧にご説明します。

「本当に無理なのかをきちんと知りたい」という方も、どうぞご相談ください。状況によっては、当院で対応できる可能性があります。

骨造成や歯肉の移植で治療できるようになるケースも多い

インプラントが「難しい」と言われる理由の多くは、骨の量が不足していることです。奥歯を長期間放置していた場合や、歯周病が進行していた場合には、顎の骨が痩せてしまい、そのままではインプラントを安定して埋入できないことがあります。

しかし、そのようなケースでも、骨造成(骨を増やす処置)を行うことで、インプラントが可能になる場合があります。また、歯ぐきの厚みや質が不足している場合には、歯肉の移植などを併用することで、より安定した環境を整えることができます。

もちろん、すべてのケースで適応になるわけではありませんし、処置の内容や期間、費用についても事前にしっかりご説明する必要があります。ただ、「骨が足りないから無理」と一言で終わってしまうのではなく、どうすれば可能性を広げられるかを一緒に考えることが大切だと考えています。

実際に、他院でインプラントは難しいと説明を受けた方でも、当院で精密に診査した結果、骨造成などを行い治療が可能になったケースもあります。まずは現在の状態を正確に把握することが、選択肢を広げる第一歩です。

インプラントの埋入をより安定させるサージカルガイド

インプラント治療では、「どこに・どの角度で・どの深さまで」埋入するかが、長期的な安定に大きく影響します。特に奥歯は神経や上顎洞などの重要な構造物が近くにあるため、より正確な位置決めが求められます。

当院では、CTデータをもとに事前に埋入位置をシミュレーションし、その計画を再現するためのサージカルガイドを使用しています。サージカルガイドとは、設計どおりの位置・角度でインプラントを埋入できるよう補助する装置です。歯科医師の経験や感覚だけに頼るのではなく、データに基づいた計画を手術に反映させることで、より安定した治療を目指します。

特に、骨の量が限られているケースや、難易度が高い奥歯の症例では、このような事前設計が重要になります。精密な診査と計画のもとで治療を行うことで、将来的なトラブルのリスクをできるだけ抑えることにつながります。

「難しい」と言われたケースであっても、こうした仕組みを活用しながら、慎重に判断していくことが可能です。

多数のインプラント症例を行う院長が治療を担当

インプラント治療は、診査・診断から手術、噛み合わせの設計、そして長期的なメンテナンスまで、一貫した判断力が求められる治療です。

当院では、多数のインプラント症例を手がけてきた院長が、カウンセリングから手術、術後管理まで責任を持って担当しています。

院長は、インプラントに関する専門的なスタディグループである「i6」の理事を務め、歯科医師向けのインプラント研修や指導にも携わっています。日々の臨床だけでなく、歯科医師に向けた教育や情報発信にも関わる立場として、常に知識と技術のアップデートに努めています。

「他院で難しいと言われた」「本当に任せて大丈夫か不安」という方にとって、治療を担当する歯科医師の経験や専門性は大きな安心材料になるはずです。もちろん、すべての症例がインプラントに適しているわけではありませんが、難易度の高いケースも含めて、幅広い経験をもとに現実的な選択肢をご提案します。

まとめ:奥歯が抜けて放置していても治療は可能です。諦めずにご相談ください。

奥歯が抜けたままの状態を放置すると、隣の歯が倒れたり、噛み合う歯が伸びてきたり、他の歯に負担が集中したりと、少しずつお口全体に影響が広がっていきます。最初は痛みがなくても、時間とともに噛み合わせが崩れ、治療の難易度が上がってしまうこともあります。

本来理想的なのは、奥歯が抜ける前、あるいは抜けてすぐの受診です。しかし、すでにしばらく放置してしまった場合でも、治療ができないわけではありません。骨や歯ぐきの状態、周囲の歯の傾きなどを丁寧に確認し、今の状態に合わせた方法を選択することが大切です。

ブリッジ、部分入れ歯、インプラントなど、それぞれに適応があります。また、他院で「インプラントは難しい」と言われた場合でも、骨造成やサージカルガイドを用いた精密な治療によって可能性が広がることもあります。

「もう遅いかもしれない」と思っている方こそ、まずは一度ご相談ください。奥歯が抜けたことをきっかけに、これ以上歯を失わないための対策を始めることができます。長崎県長与町で、奥歯の欠損やインプラント治療についてお悩みの方は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

監修者情報

院長 渡邉 威文

  • 九州大学歯学部 卒業
  • 九州大学総合診療科にて研修
  • 福岡赤十字病院にて研修
  • 山口県萩市にて勤務
  • 福岡県糸島市にて勤務
  • 医療法人渡辺歯科医院 継承
Clinic

医院紹介

〒851-2126
長崎県西彼杵郡長与町吉無田郷35-3
JR長崎本線・長与駅から徒歩4分

clinic

【火曜】17:30まで 【土曜】14:30まで 【木曜】18:30まで
予約制 ※臨時休診あり(祝日がある週の水曜は診療致します。)

clinic
clinic