コラム一覧

『インプラント治療の歯の型取りはどれくらい時間がかかりますか?』
『歯の型取りは気持ち悪くてしんどいと聞いたことがあって不安…』
『嘔吐反射がキツい方なのですが、型取りできるでしょうか?』

インプラントの手術をおこない、埋入したインプラント体が顎の骨に定着したことが確認できた後は、インプラントの上部構造(歯の部分)を製作します。上部構造を制作する際には歯の型取り(印象採取)が必要です。

歯の型取りというと、長時間口の中に粘土のようなものを入れて、「おえっ」となってしまうような、気持ち悪さを感じるイメージがあって不安な方も多いのではないでしょうか。

実は当院でも導入している最新の印象採取の方法を使えば、不快感も少なくごく短い時間で歯型を取ることが可能です。

このページでは、従来の印象採取と最新の方法の手順やかかる時間など、歯型取りについてさまざまな内容を、インプラント治療を専門的に行う長崎県長与町の渡辺歯科医院、院長の渡邉が解説します。

インプラントに興味はあるけれど印象採取に不安を抱えている方や、不快感の伴わない歯形取りをご要望される患者様は、ぜひ最後までご覧ください。もちろん当院の無料カウンセリングにご来院いただき、直接ご質問をいただいても大丈夫ですよ。

印象採得(歯型取り)の主な3つの方法

治療の際の印象採取、つまり歯型取りは、主に以下の3つの方法のどれかで行われます。

  1. アルジネート印象
  2. シリコン印象
  3. 光学印象(デジタル印象)

従来は①②の印象採取方法が一般的でしたが、近年③のデジタル機器を用いた印象採取法が登場し、まだ導入されている歯科医院は多くありませんが、さまざまなメリットがあり注目されています。

当院でも実際に、デジタル機器を用いた光学印象を取り入れています。

それぞれの印象採取方法について、具体的な内容は以下で詳しくご説明します。

①アルジネート印象

アルジネート印象は、粉末と液体を適切な割合で混ぜ合わせることでできる柔らかいペースト状の印象材で印象を取る方法で、一般的に歯科で用いられている方法です。

印象材は、季節や温度によって固まる時間にバラつきがあり、固まる時間は比較的早いです。固まったときに歪みが生じやすく、印象の精度は低いと言えます。

ひんやりとした感触やグニグニとした感触が苦手な方や嘔吐反射を起こしてしまう方は、不快感を強く感じてしまう印象方法です。

またインプラントのような精密な治療の場合は精度の問題もあり使用されることは殆どありません。

②シリコン印象

シリコン印象とは、シリコン系の印象材を使って印象を取る方法で、先程のアルジネート印象と似たような方法です。

ですがアルジネート印象材と比較すると、収縮率がほんのわずかで、印象の精度が高いと言え、自費診療などで多く用いられます。

当院でも自費の被せ物をする際にこの方法で印象することがあります。しかし、シリコン素材であるため固まる時間は、アルジネート印象に比べると長いため、嘔吐反射のある方や鼻呼吸がうまくできない人にとっては難しい印象方法です。

クローズドトレー法とオープントレー法

シリコン印象を少し掘り下げていくと、インプラントの被せ物をつくる際にクローズドトレー法とオープントレー法という2つの方法を使い分けることがあります。

クローズドトレー法とは、インプラント補綴において、印象用コーピングを口腔内に固定したまま印象体を撤去する方法です。インプラントが相互に十分に平行である場合や顎間距離に制約があり、スクリュー固定による印象用コーピングを使用するのに十分なスペースがない場合にクローズドトレー法を用います。

オープントレー法とは、印象採得の器具とトレーを一体化して歯型を取る方法です。印象採得用の器具とトレーが一体になった状態で型を作れるため、クローズドトレー法よりも精度が高いとされています。また、印象の中にパーツが取り込まれているため、技工所で口腔内のインプラントの形状を再現した技工用パーツを連結して、模型を作ることができます。

インプラントが平行に植立しておらず、複数の印象用コーピングから適切に印象を取り外すことができない場合や、インプラント体が複数本あるブリッジなどのケースに適用されます。

③光学印象(デジタル印象)

光学印象とは、従来の柔らかい材料(アルジネート印象材やシリコン印象材など)での歯の型採りとは異なり、お口の中をカメラでスキャンして3Dデータをデジタルで採取する型採りのことです。

アルジネート印象やシリコン印象など、従来の印象方法とはまったく異なり、歯型を口の中に入れて型を取ったり、噛み合わせを採得したりする必要がありません。精密な歯型を採得できるため、さまざまな症例に適応できます。

高解像度センサーにより詳細なデータを取れるため、従来の印象材での印象に比べて精密な印象が取れます。

また、印象材を口腔内に入れず、口腔内スキャナーを使って短時間での印象ができますので、患者様の負担は少なく、嘔吐反射の心配はありません。

ただし現在において、複数歯(全顎にわたる)のデジタルの印象は機械の精度の問題やスキャン技術のこともあり、不向きであると言われています

当院では光学印象(デジタル印象)を推奨しています

従来の印象採得では、患者様に長時間お口の中に異物を入れたまま我慢していただかないといけないため、体力的・精神的負担が伴います。

素材の性質上、材料が空気中や水中に触れてしまうことで形が変わってしまったり、材料を固める際の温度に反応して形が変形したりと作業工程ごとに本来の形とのズレが生じることがあります。

これまでの印象採得の悩みを一気に解決してくれるため、当院ではデジタル印象を導入しました。

光学式口腔内スキャナーiTero(アイテロ)について

光学式口腔内スキャナーiTero(アイテロ)のメリットは、主に以下の4点です。

  1. 嘔吐反射の心配がほとんどない
  2. 従来の方法よりも正確に型取りができる
  3. 画像をその場で確認することができる
  4. サージカルガイドの作成にも使用できる

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

メリット①:嘔吐反射の心配がほとんどない

嘔吐反射があると、歯科治療は非常につらいものです。その最大の難関である型取りですが、従来の型取りで困難を極めた患者様も、この光学式口腔内スキャナー「アイテロ」では、スキャニング機器の先端を少しお口の中に入れる程度で患者様に合わせた型取りが可能になります。

これまで、嘔吐反射を起こしてしまった方でも、光学式口腔内スキャナーを導入している当院なら、安心してインプラント治療を受けていただけます。

メリット②:従来の方法よりも正確に型取りができることがある

従来の印象方法では、前述した通り患者様に体力的・精神的負担を与えてしまうほか、人の手で行う印象であるため本来の形とのズレが生じることがありました。

iTeroでは、従来の印象材を使用した歯型取りと比較して、約10倍の精度で歯型を取ることが可能になりました。この精密な印象により、インプラントの清掃性が向上したり、審美性がさらに高くなるなど、より良い治療結果をもたらします。

ただしスキャンを取る際に、歪みが少ないスキャンを行うには歯科医師の技術やアシスタントとの連携などうまく取っていく必要があります。

メリット③:画像をその場で確認することができる

スキャンしたデータはその場で光学式口腔内スキャナーiTero(アイテロ)で処理され3Dデータをその場で確認することができます。

そのため患者様は自分の口腔内の状態をすみからすみまで見ることができ、また色んな角度から見ることで、虫歯や歯周病の状態、かみ合わせの具合などを詳細に、より視覚的に把握することができます。

メリット④:サージカルガイドの作成にも使用できる

サージカルガイドとは、インプラント治療の際に使用するマウスピース型の装置で、埋入ポイントと方向の正確性を高めるために使用します。

サージカルガイドを作製する際、レントゲン撮影のみの検査では2次元的な情報では物足りません。人工歯根を埋め込む位置を3次元的にガイドしてくれる装置なので、光学式口腔内スキャナー「アイテロ」と歯科用CTによる3次元的な情報が欠かせません。

印象採得の手順について

従来の印象採得の手順

従来のシリコン印象の手順としては、埋入されたインプラントに適合する印象用のパーツを装着し、その状態でシリコン印象材を流して型採りをしていきます。上記にあるように印象材が固まるまでは柔らかい状態で徐々に固まってきます。

固まってくるまでには、印象材の種類にもよりますが、数分ほどかかります。その間できるかぎり口を開けておいた状態になります。その後固まった段階で、印象用のパーツと一緒に口の中から取り出します。

シリコン印象の場合、そこでしっかりとした型がとれているか確認してもし精度が悪い状態であれば再度印象をおこなっていくため、患者様の負担や時間的に長くかかることがあります。

また、シリコン印象の場合には事前に準備することが多くあり、当院では以前はアポイント時間を60分ほどかかる場合がありました。

iTeroによる光学印象採得の手順

光学印象採得の手順としては、シリコン印象と同様に埋入されたインプラントに適合する光学印象用のパーツを装着します。その後はお口の中をスキャンしていくこととなります。スキャンはより精度を高めるためにインプラントの部分は複数回とりますが、それでもスキャンしていくだけであるためおよそすべての作業が10分〜15分ほどで終わることが多いです。

また、やり直す場合もデータを一部消去するくらいなので容易に再度スキャンすることができます。以前当院でインプラントを行いシリコン印象で型をとり、最近再度他の部位をインプラントをして今度はスキャンで印象を行った患者様は「え?もう終わったの?以前は結構時間がかかったしきつかったけど、今回ホント楽だったわ〜」とおっしゃっていただきました。

ただし、複数のインプラントの光学印象はまだ画像の歪みなどもあり精度が落ちることもあるために光学印象単独で行うことは少なく、その他の手法も使いながらより精度の高いものをつくるようにしています。

いずれにしても従来型よりも患者様、術者ともに負担の少ない方法になってきていると思います。

インプラント治療中に歯がない期間はどれくらいありますか?

ここで、インプラントの埋入の手術をして、型採りをして歯が入るまでには、骨とインプラントが固まるまでや歯茎が治癒していくために、ある程度の期間を待つ必要があります。

「どのくらい待ったらいいの?」とご質問が多くあるのでそれに関して解説していこうと思います。

インプラントをする部位に異常がない場合

インプラントをする部位に異常がない場合には、インプラントを埋入してから骨とくっつくまでにはおよそ下顎で2〜3ヶ月、上顎で3〜4ヶ月かかるといわれています。

そのあとに型を取り歯が入るので、インプラントをして早ければ3ヶ月〜6ヶ月かかることになります。

ただし二次手術(インプラントを歯茎から見える状態にする)を行う場合もあるために、更に1〜2ヶ月ほど治りを待つことがあります。

インプラントをする部位に異常がなければ、このようにスムーズにインプラント治療が可能ですが、何か異常がある場合にはさらに時間が必要になります。

インプラントをする部位に何らかの問題がある場合

上記のように、何も異常がない場合は問題ないのですが、ほとんどの場合は何かしら歯が入るまでの期間を長引かせる要因が現れます。

例えば、歯を抜歯して抜歯した箇所の治りを待ってからインプラントする場合があります。

他にも、抜歯をする歯の周りの骨がかなり悪く問題がある場合には、GBRとよばれる骨を増やしていく処置が必要になる場合があります。その場合にはGBR後に6〜8ヶ月待ったあとにインプラントを埋入していくために、歯が入る期間は長くかかることも多くあります。

治りの期間にもし噛みにくい状況があれば、仮歯や仮の入れ歯など用意しておくこともあります。当院ではインプラント治療中に、できるかぎり日常生活に支障が出にくいようにしています。

最近ではそのようにインプラントの治療の期間を短くしたり、患者様の負担を少なくするために、抜歯をする際には事前に抜歯時期や方法を考えてから行うことが増えてきています。

具体的には、抜歯と同時にインプラントをおこなう抜歯即時インプラント治療や、抜歯時の骨の減りを少なくしていくためのソケットプリザベーションなどを応用することがあります。

当院では抜歯即時やソケットプリザベーションを適応できる症例では、しっかりと患者様にお話し、患者様の生活の質を落とさないように治療をおこなっています。また所属するインプラントの勉強会では、そのようなセミナーを若手の先生方に伝えるために、講師としてサポートさせていただいております。

まとめ:渡辺歯科医院では患者様の負担の少ない口腔内スキャナーを導入しています

インプラント治療で歯を入れていくための型採りにおいて、当院では口腔内スキャナーを導入し患者様が少しでも不快感が少なく、また短時間で型採りができるようにしています。

また様々な手技や診断を駆使することによって、治療期間を短くしたり患者様の生活の質を落とさないように日々アップデートしています。インプラント治療に関してお困りの方、当院でお悩みを解決しませんか。

無料相談もありますのでぜひお問い合わせください。最後まで読んでいただきありがとうございます。

監修者情報

院長 渡邉 威文

  • 九州大学歯学部 卒業
  • 九州大学総合診療科にて研修
  • 福岡赤十字病院にて研修
  • 山口県萩市にて勤務
  • 福岡県糸島市にて勤務
  • 医療法人渡辺歯科医院 継承
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