コラム一覧

『上顎のインプラントは危険って本当ですか?』
『上の歯のインプラント治療は難しいので、と言って治療を断られてしまった』
『上顎洞炎のリスクが高いと言われたのですが、よく意味がわからなくて困っています…』

当院にご来院くださる患者様からこのようなご質問や、他院では治療を断られてしまったのだけどなんとかならないかといったご相談をいただくことは、少なくありません。

実際に上顎のインプラントは下顎のインプラントに比較して難しいケースが多く、場合によっては治療を断念することもあり得ます。しかし上顎だからといって必ず治療がハイリスクになるわけでも、治療を断らざるを得ないというわけではありません。

そこでこのページでは、上顎のインプラント治療が危険・リスクがあると考えられる原因や、『上顎洞炎』とは何か?といった内容をご説明します。さらに上顎のインプラントを安全に行うための方法について、安心安全なインプラント治療を専門的に行う長崎県長与町の渡辺歯科医院、院長の渡邉が解説します。

現在上顎のインプラントをご検討中の患者様や他院で治療を断られてしまいお困りの患者様は、ぜひ最後までご覧ください。もちろん当院の無料カウンセリングにご来院いただき、直接ご質問をいただいても大丈夫ですよ。

上顎のインプラント治療が難しい・危険と言われる理由について

上顎骨

上顎のインプラント治療が難しい・危険と言われる理由は、主に以下の4点です。

  1. 上顎骨は密度や量が少なくインプラントの埋入・結合が難しいため
  2. 上顎骨は下顎骨と比べて柔らかいため
  3. 上顎の前歯は骨が薄く、重要な神経や血管などが通っているため
  4. 上顎の奥歯の根本には上顎洞(副鼻腔)があるため

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

①上顎骨は密度や量が少なくインプラントの埋入・結合が難しいため

上顎下顎
骨密度低い(個人差あり)高い傾向がある
インプラントとの結合期間約2〜6カ月約2〜3カ月
骨の量少ないケースが多い比較的十分なケースが多い

個人差はあるものの、一般的に上顎は下顎に比べて、骨の密度が低い傾向にあります。骨密度が低い状態では、顎の骨に埋入したいインプラント部の結合に時間がかかります。結合にかかる期間の目安は下顎が2~3カ月程度、上顎が2~6カ月程度です。

上顎の骨の量が少ないと、インプラントを埋入するのに適切な深さと安定性を得られません。

もし、骨量が少ない状態でインプラント手術をした場合、インプラントがしっかりと固定できず、術後に埋入したインプラントが動き、最悪の場合は脱落するなどの問題が生じます。

②上顎骨は下顎骨と比べて柔らかいため

顎の骨の表層部分には「皮質骨」と呼ばれる骨密度の高い硬い骨があり、その内側に「海綿骨」と呼ばれる骨密度の低い比較的柔らかい骨があります。

上顎は、下顎よりも柔らかい「海綿骨」の比率が高いという特徴があります。

インプラント治療は皮質骨と海綿骨のバランスが重要で、どちらかの骨が極端に少ない、硬すぎる、柔らかすぎるなどがあると、埋め込んだインプラントが顎の骨と結合しにくくなることがあります。

骨密度が低い上顎にインプラント治療を行う場合には、下顎に行うインプラント治療よりも治療期間が長くなる傾向にあります。

③上顎の前歯は骨が薄く、高い審美性が求められるため

インプラント治療を難しくする要因は他にもあります。

それは上顎の前歯は骨が薄い場合が多いということです。

前歯を支える顎の骨は奥歯よりも薄く、その分インプラントを安定させる骨が少ないため

インプラントの固定が難しくなります。

また、前歯は目立つ位置にあり、見た目の印象に大きな影響を与えます。そのため、前歯のインプラント治療には、他の歯よりも高い審美性が求められるため、治療計画や高い技術力が必要になります。

これらの理由により、上の歯の前歯はインプラント治療が難しいのです。

④上顎の奥歯の根元には上顎洞(副鼻腔)があるため

上顎洞(副鼻腔)と骨の関係

上顎の奥歯の根元には上顎洞(副鼻腔)と呼ばれる空洞があり、この空洞の存在により骨が薄くなることがあります。

一般的に用いられる歯根部の長さは10mm前後ですが、これよりも骨が薄いと歯根部が上顎洞を突き抜けてしまうため、インプラント周囲炎を起こすと上顎洞炎の原因になる可能性があります。

またインプラントを行うためには上顎洞へのアプローチが必要になる場合があります。

以上の点も、上の歯はインプラント治療が難しいといわれる理由です。

上顎骨が痩せる(薄くなる・少なくなる)原因とは?

上顎骨が痩せる(薄くなる・少なくなる)原因とは?

上顎骨が痩せる(薄くなる・少なくなる)原因は、主に以下の4点です。

  1. 歯を失ってから時間が経ってしまい骨吸収が起きた
  2. 入れ歯やブリッジでの治療期間が長く骨吸収が起きた
  3. 歯周病によって顎の骨が溶けてしまった
  4. 生まれつき上顎骨が薄い方もおられます

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

①歯を失ってから時間が経ってしまい骨吸収が起きた

骨が痩せてしまう原因とその影響

骨が痩せる原因長期間、歯がない状態を放置することで刺激がなくなり骨が吸収される
骨吸収の進行スピード・抜歯後6ヶ月で30~40%吸収
・2~3年で40~60%吸収
骨の高さの変化(1年後)・上顎:約2mm減少
・下顎:約4mm減少

上顎の骨に限らずですが、骨が少なくなる原因の一つに、長期間にわたる「歯のない状態の放置」が挙げられます。歯が抜けたままにしておくと、刺激を与えられなくなった顎の骨が衰えて痩せてしまうことがあります。

骨吸収は、抜歯後2~3年の間に40~60%、抜歯後6ヶ月で30~40%の骨が吸収されると言われています。

また、抜歯後1年ほどで上顎は2mm、下顎は4mmもの骨の高さがなくなるともされています。

インプラント治療をするには、インプラントを埋める部分の顎の骨の厚みや量が一定以上必要ですが、骨が痩せてしまうとインプラントをすることが難しくなります。

②入れ歯やブリッジでの治療期間が長く骨吸収が起きた

長期間の入れ歯の使用も上顎の骨が少なくなる原因のひとつです。

入れ歯は、極端に言うと歯茎の上に歯を乗せているだけの状態なので、骨に直接的な刺激を与えることがなく、骨吸収を引き起こします。骨は「骨形成」と「骨吸収」を繰り返して生まれ変わっていますが、噛む力の刺激がなくなると骨形成されなくなり、骨が痩せていきます。

骨吸収を引き起こすのは、嚙む力の刺激がないことだけではなく、入れ歯を支える歯に負担がかかる着脱方向を間違えていたり、部分入れ歯で食べ物を噛む度に金具をかけている歯が引き倒されて歯根や歯槽骨にダメージが及んでいたりすることも要因として考えられます。

入れ歯と同じようにブリッジ治療でも同じく、骨吸収が起こりやすいとされています。

③歯周病によって顎の骨が溶けてしまった

歯周病は、世界で最も蔓延している感染症と言われており、日本においては歯を失う原因の第一位です。歯周病にかかると、歯を失っていない場合でも骨吸収が起きます。

歯周病が進行すると、歯周炎となり歯茎だけでなく歯根膜や歯槽骨に炎症が及び、歯周病菌から出る毒素や炎症によって歯を支える歯槽骨が溶けはじめます。

初期段階の歯周病はほとんど自覚症状がないため、知らないうちに症状が悪化していることが多く、歯周病により破壊された歯槽骨は骨吸収をはじめるため、歯が抜けるまで歯周病が進行していた場合、骨吸収はかなり進んでいる状態だといえます。

④生まれつき上顎骨が薄い方もおられます

生まれつき骨の量が少なく、厚みや幅が薄い可能性が考えられます。

特に上顎の前歯に関しては個人差もあり、骨が薄い場合も多くあります。

また上の奥歯の辺りには上顎洞とよばれる空洞が存在します。顎の骨が薄い方は上顎洞との距離も近くなるため、上の奥歯を失った際、インプラントに必要な骨の量に達していない可能性が高くなります。

上顎骨が痩せている場合もインプラント治療が不可能なわけではありませ

上顎骨が痩せている場合もインプラント治療が不可能なわけではありませ

顎の骨を増やす治療で上顎のインプラント治療が可能に

実は顎の骨を増やす治療が存在することをご存知でしょうか?

当院では主に、以下の3種類の術式を用いることで、痩せてしまった顎の骨を増やしてインプラント治療を可能としております。

  1. ソケットリフト
  2. サイナスリフト
  3. GBR(骨誘導再生)

具体的な内容については、以下で簡単にご説明します。

①ソケットリフト

ソケットリフト

ソケットリフトは、インプラントを埋め込む為の骨の量が少ない場合に行う骨造成手術の術式の一つです。骨の厚みが最低3mm以上あって、一本程度の比較的小さい範囲の場合に行われます。

インプラントを行う箇所(歯を抜いた場合はその穴から)から移植骨を入れて、少しずつ上顎洞粘膜を押し上げていき、インプラントを埋入するために必要な骨の厚さを確保します。ある程度の骨の厚さがあることが前提であるため、ソケットリフトと同時にインプラントを埋入します。

治療期間が3~4ヵ月と比較的短いことと、範囲が小さいため患者様の身体への負担が少ないのが特徴です。

②サイナスリフト

サイナスリフト

サイナスリフトは、ソケットリフトと同様奥歯の骨量が足りない場合に行う骨造成手術の1つです。

骨の厚みが3mm以下で、複数の歯が欠損している広範囲の場合に行われます。骨の厚みがないため、サイナスリフトと同時にインプラントの埋入は行わいことが多く、移植骨が安定するのを待って埋入するため、ソケットリフトと比較し、より多く骨の量を増やすことができるというメリットがあります。
ただし、治療期間が長くなること、患者様の身体への負担が大きいというデメリットもあるので、注意が必要です。

③GBR(骨誘導再生)

GBRとは、インプラント治療において骨の厚みや高さが足りない場合に行う歯槽骨をふやす方法です。骨の吸収が進んで厚みや幅が不足している箇所に、骨補填剤や、細かく粉砕した自家骨(自分の歯骨)を入れ、メンブレンという人工の膜で覆います。

サイナスリフト同様、骨の量を増やすことができる一方、治療期間や患者様の体への負担が大きくなる特徴があります。

サージカルガイドを用いた安全で正確なインプラントの埋入

サージカルガイド

上顎の骨が少なくなった場合、上記のような方法で骨をふやす事もできますが、骨を増やすことなく行う場合もあります。

そのような場合は設計した位置に正確にピンポイントでインプラントを埋入していく必要があります。

そのためにサージカルガイドを用います。

サージカルガイドとはインプラントを埋入する際に、目印となるマウスピースのようなもので、あらかじめ設計したインプラントの位置に穴があいており、そこを目印としてインプラントをすることで、位置を正確に埋入することができます。

このサージカルガイドを用いることで、少なくなった骨でも正確にインプラントをすることが可能となります。

サージカルガイドを導入している歯科医院はまだ多くありませんが、患者様の安全の確保を第一と考え、当院ではサージカルガイドを用いた治療を積極的に行なっております。

インプラント治療が不安、怖い、と感じる方は、ぜひ一度当院にご相談ください。

上顎のインプラントが危険な理由、上顎洞炎(副鼻腔炎)について

上顎のインプラントが危険な理由、上顎洞炎(副鼻腔炎)について

上顎洞炎とは、上顎洞に起こった炎症のことです。上顎洞は鼻腔の左右両方にあり、

一般に左右両方に上顎洞炎が起こった場合は、鼻に原因がある鼻性上顎洞炎、左右のどちらか一方だけに生じた場合は、歯に原因がある歯性上顎洞炎と言われています。

上顎洞炎の原因は、鼻性か歯性かで大きく異なります。

鼻性上顎洞炎では、風邪やインフルエンザなどのウィルス感染や細菌感染、そしてアレルギー性鼻炎が原因の場合が多いです。風邪などにより鼻に鼻水や鼻づまりなどの炎症が起こります。この炎症が、鼻から副鼻腔に達し、副鼻腔炎を起こします。

歯性上顎洞炎は、むし歯や歯周病が原因で上顎洞炎を起こします。上顎の奥歯は上顎洞があるため元々骨が薄く、むし歯や歯周病によって膿がたまってくると、その分骨の厚みがさらに薄くなります。その結果、むし歯や歯周病の炎症が上顎洞に達して、上顎洞炎を起こすようになります。

インプラント治療によって上顎洞炎が起きる危険性

インプラント治療によって副鼻腔炎が起こるケースも残念ながらあります。

特に、上記で書いていたように、上顎の奥歯は副鼻腔の上顎洞に近いため、インプラント治療中に

上顎洞の粘膜を傷つけたり破いてしまうと、そこから細菌感染が副鼻腔炎につながることがあります。

インプラント治療を受けるということは、何らかが理由で歯を失ったケースがほとんどです。歯が抜けると、その歯のあった場所の顎骨は痩せて薄くなります。顎骨が薄いとインプラント治療の際に、粘膜を傷つけてしまい、細菌感染を引き起こすリスクが高くなってしまいます。

サージカルガイドを用いることで上顎洞炎のリスクも軽減可能です

インプラント治療の際に上顎洞炎のリスクを軽減するために、上記の様に当院ではサージカルガイドを積極的に用いることで、正確で安全なインプラント治療を行っています。

上顎洞までの骨に限りがある際に、ピンポイントでインプラントの埋入を行うことは非常に技術のいることではあります。サージカルガイドを用いれば、その名の通り「ガイド」してくれるために、その「ガイド」にしたがってすすめていくと、あらかじめ考えていた治療計画の通りにインプラントの埋入がおこなえる可能性が高くなります。

まとめ:上顎のインプラント治療は安心安全の治療を行う渡辺歯科医院まで

上顎にインプラント治療を行う際に、上顎は骨が薄いことが多くあります。

インプラント治療前に口腔内をしっかり診査診断していくことが大切です。

抜歯になった原因を探りつつ、インプラントを安全に行うために、骨をつくる方法もありますし、サージカルガイドを用いることで正確なインプラント治療が可能となります。

当院では積極的にサージカルガイドを用いて治療を行っていますので、ご相談ください。

監修者情報

院長 渡邉 威文

院長 渡邉 威文

  • 九州大学歯学部 卒業
  • 九州大学総合診療科にて研修
  • 福岡赤十字病院にて研修
  • 山口県萩市にて勤務
  • 福岡県糸島市にて勤務
  • 医療法人渡辺歯科医院 継承
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