- 歯のコラム
こんにちは 長与町の歯医者 渡辺歯科医院です。
今回はアルツハイマーと歯周病についてお話させていただきます。
皆さんはアルツハイマー型認知症をご存じでしょうか。
認知症の中で最も多く、脳が小さく萎縮されることで症状が現れます。
記憶、思考、行動に問題が起きる病気です。
一方、歯周病は歯ぐきや歯を支える骨が溶けてしまう病気です。一見何の関わりもなさそうに思えるこの2つの病状。どのような関係があるのか詳しくみていきましょう。
アルツハイマーの原因にもなる歯周病?
認知症は現在増え続けていますが、根本的な治療法は未だ開発されていません。
実は、この厄介な病気の原因が歯周病にあると言われています。こう言われている理由の1つが九州大学の研究チームが発表した、マウスの研究結果。
それは歯周病菌を3週間連続で投与したマウスは、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβが10倍近くも増え、記憶力が低下するというものでした。
このアミロイドβは、歯周病菌であるPg菌が免疫によって死滅し、死骸となった細菌が内毒素を体内に残すことで蓄積されます。
このPg菌は歯周ポケットと言われる歯と歯茎の間から血流の中へ入り込んでしまいます。
そのため、お口の中のケアを怠ると、歯周病菌が血管の中に入り込み、たとえ免疫機能により細菌を死滅させることができたとしても、アルツハイマーの原因を作り出してしまうのです。
また、このアミロイドβは血管の壁に沈着することもあり、脳出血の原因となることもあります。
歯周病予防でアルツハイマーの発症を抑える
歯周病はアルツハイマーの原因にもなりますが、歯周病の予防は、アルツハイマーの予防にも有効です。
九州大学では、アルツハイマー型認知症を引き起こす原因であるアミロイドβを減らしたり、死んでしまった脳内の神経細胞を再生したりする方法についての研究も行ったそうですが、アミロイドβを減らすことはできても、脳内の神経細胞を再生する方法は現時点では見つけることはできなかったそうです。
そのため、歯周病を予防することが、アルツハイマーの発症を遅らせる、または予防することに繋がるのです。
アルツハイマー型認知症は高齢の方に多く見られる病気ですが、その原因であるアミロイドβは認知症を発症する20年も前から脳に溜まり始めていると言われています。
従って、高齢になってからの口腔ケアでは無く、早い時期からお口の中を清潔に保つことが大切です。
今から日頃のケアや、定期的な歯科医院での検診でアルツハイマー型認知症の予防に努めましょう。
認知症は高齢者がなりやすい病気だから関係無い…とは言い切れません。日頃のケアの見直しが、将来のご自身の健康に繋がります。ぜひ今一度お口の健康に目を向けて見ませんか。
上記の内容以外にも、アルツハイマーと認知症についてもっと知りたい方、その他にも詳しいことや気になることがございましたら、当院へお気軽にお問い合わせください。